1. 専門医としての経験を生かした消化器疾患診療
まず始めに、当院の診療全般に当てはまることとして、患者さんにとって分かりやすく、実際の行動に移しやすいよう配慮した説明を心がけています。
そして、消化器疾患に関して言えば、専門医としてのこれまでの多数の臨床経験に裏付けられた正確な診察・治療を目指します。
癌などのため入院加療や手術等の処置が必要と判断される場合や、特殊な検査機器を用いた精密検査が必要とされる場合には、病診連携により、近隣の基幹病院や大学病院など、病態に合わせて最も適切と思われる医療機関にできるだけ迅速に紹介するよう努めます。
内視鏡検査について
- 速やかでかつ苦痛の少ない内視鏡検査を実施するよう心掛けております。
- 内視鏡検査用CO2送気装置を全例において使用し、検査時における腹部膨満感から来る苦痛を軽減するようにしています。
- 上部消化管内視鏡では経鼻内視鏡を主として使用し、苦痛の軽減に努めております。経鼻内視鏡では、嘔吐反射が少なく、苦痛が大幅に軽減します。検査中の会話も可能です。従来、経鼻内視鏡では画質に問題があるなど、性能的に経口のものよりも劣るというのが相場でしたが、最近状況は改善されてきており、当院では最新の高性能の機器を揃え、経口のものと比べても遜色ない精度を確保するようにしています。ただし、鼻腔が敏感であったり鼻出血しやすいなどにより経鼻内視鏡が苦手である方の場合には経口内視鏡も可能です。
- 下部消化管内視鏡では、受動弯曲機能など挿入時の苦痛軽減に効果があるとされる機能を備えた高性能の内視鏡を使用しております。
- ご希望の患者さんには、検査時に鎮静剤や鎮痛剤を使用し、苦痛の軽減を図る配慮をしております。苦痛のない内視鏡検査を実施するために、安全性を確保しながら適切な仕方で鎮静剤や鎮痛剤を使用することは、日本消化器内視鏡学会でも推奨しています(「消化器内視鏡ハンドブック」監修 日本消化器内視鏡学会)。
- 希望者には、内視鏡での大腸ポリープ日帰り切除を行なうことができます。ただし、ポリープの大きさや形状、個数、抗凝固薬や抗血小板薬内服の有無等により、入院の上ポリープ切除を行った方が安全と判断される場合があります。その場合、入院治療のできる医療機関に紹介させて頂きます。
- 内視鏡検査に関しては、当院には消化器内視鏡技師の資格を有する正看護師が常勤しており、その面でも安全で行き届いたサービスを提供できます。
2. 基幹病院との密接な連携を生かした肝疾患診療
肝炎・肝癌診療における幅広い診療経験を生かし、C型肝炎、B型肝炎などのウィル性肝炎はもちろんのこと、各種肝疾患、肝機能異常の原因精査や加療を行います。
肝疾患については、病態によってはCTやMRI、腹部血管造影装置など、大病院でなければ保有できない設備がないと診断や治療ができないものがありますし、原因精査にはエコー下肝生検など、侵襲性があるがゆえに入院検査が必要なケースも少なくはありません。
しかし、院長はクリニック開設後も当面の間週一回、引き続き県立磐井病院の診療応援を行い、エコー下肝生検、腹部血管造影、肝動脈化学塞栓術、ラジオ波焼灼術、経皮的胆管ドレナージ術、肝嚢胞硬化療法などを行う予定であり、クリニックで対応できない場合であっても、連続的に検査や治療に関わっていくことができます。つまり、普段の診療は患者さんにとっては通院の利便性の高い当クリニックで行い、侵襲性の高い処置や入院加療が必要な場合には、磐井病院の設備を利用するという形です。
3. 幅広く丁寧な生活習慣病診療
糖尿病、脂質異常症、高血圧症、高尿酸血症と言った生活習慣病全般について対応致します。糖尿病について言えば、内服薬の処方はもちろん、必要に応じてインスリン療法の導入や維持、自己血糖測定の導入や指導、さらに持続血糖測定器の導入や管理に至るまで幅広く対応します。
また、昨今生活習慣病と深い関わりのある疾患として、非アルコール性脂肪性肝炎という病気が増えており、これが将来的に肝硬変や肝癌の原因になることが問題視されています。この疾患の確定診断をするには、肝臓専門医としての知識や経験が不可欠であり、必要とあらば肝生検などの検査を実施する必要もあり、さらに肝硬変や肝癌が発生するリスクがあることを長期的な視野に入れながら診療を行う必要がありますが、当院ではこういう面でも専門的な診療が可能です。
糖尿病の増悪などのために教育入院が必要な場合には、病診連携により、入院施設のある病院にご紹介致します。
さらに当院には糖尿病看護認定看護師の資格を有する正看護師が常勤しており、看護師サイドからもきめ細やかなサポートを提供することができます。
4. 患者教育・啓発・指導、予防医学におけるサポートの充実
大病院には手術や入院などが必要な重症疾患の診療にあたる役割がある一方で、クリニックの役割とは単にそれ以外の軽症患者を診察するだけではありません。すなわち、大病院ではなかなか手が回らない日常の健康管理や予防、患者さんとの細かなコミュニケーションなどを行うことも、クリニックの重要な役割と言えます。
当院では、患者教育や啓発、指導に特に力を入れていくことを、重要な目標・理念として掲げております。こういう領域は、保険上は時間をかけてもあまり収益に繋がりにくいという厳しい状況下にあるので、力を入れるところは決して多いとは言えません。収益という観点では当院も状況は全く一緒ですが、重要な分野ですので、損得勘定抜きで可能な限り取り組んでいくつもりでおります。
現実的に普段の限られた診療時間内で情報を発信し切れない部分に関しては、院内の情報端末を利用したり、休日等を利用して、随時無料のセミナーなどを開催していく予定です。
5. 統合医療の考え方を取り入れた医療の実践
日本の医療機関における主流は、欧米に起源を有する医学で、西洋医学とも呼ばれますが、医療者の側の関心・興味の欠如や教育背景、保険上の制約などのため、現状ではあまり普及しているとは言えません。しかし、世の中には西洋医学以外でも優れた医療、利用可能な医療というものが存在します。また、近年になって西洋医学的手法だけに頼ったやり方では限界が見えてきている部分があるのも事実です。そのような西洋医学以外のもので、効果があると評価でき、かつ当院で導入できるものに関しては積極的に活用していきたいと考えております。
統合医療に関して
当クリニックでは、統合医療を診療の一環として今後順次拡大していくことを、目標あるいはミッションの一つに掲げております。
日本の医療機関で行われている医療の主流は欧米の医療にルーツを有するもので、「西洋医学」とも呼ばれますが、エビデンス(科学的根拠)を重んじ、信頼性の高い医療を提供することに大いに貢献してきました。しかし、そうしたものに突き進む過程で、西洋医学的方法論の問題点も明らかになり、最近になって、これまでは見過ごされがちだった東洋医学を含む他の様々な医療体系も再評価されるようになってきています。
西洋医学の強みであると同時に弱みでもある点としては、臓器中心主義であることが挙げられます。専門診療科が臓器別に細分化されているのはこういう流れがあるからです。一般の方々だけではなく、医師を含め多くの人はこのことに何の疑問も抱いていないかもしれませんが、臓器中心主義だと局所の現象の追究にこだわるようになり、結果として全体的視点を失いがちになります。
これとは対照的に、東洋医学(漢方を含む)などでは、局所よりも、人体全体に起こっている現象を捉えようとします。
最近では、西洋医学でも、臓器間ネットワークなどに目を向けるようになってきてはいますが、東洋医学などに比べれば、遥かに遅れているということになります。そして、西洋医学は、科学的実証主義を重んじていて信頼性が高いのですが、特に現代医学においては、産業との結びつきが強く、仮に価値があるものであっても、企業などの儲けに繋がらなければ製剤化すらされないというような弊害もあり、科学的に合理的であるとばかりは言い切れません。
本来は、両方の長所短所をうまく組み合わせながら医療を行うのが良いのです。そのように、西洋医学と東洋医学など西洋医学以外の医学を組み合わせる医療が、統合医療の一つの側面ということになります。
ただし、統合医療はそれだけを意味するのではありません。その一つに、身体・こころ・スピリチュアリティ・社会の「統合」などという概念もあります。
率直に言えば、西洋医学では物質としての「身体」に特に偏って注意が向けられてきた側面があることを否めません。西洋医療では、内科、外科、その他もろもろの診療科の多くが、身体疾患に特化した医療を行います。一方、精神科などは精神の部分に注意を向けた診療を行います。しかし、人間は身体だけではないし、精神だけでもありません。さらに言えば、精神科で扱う精神というのは、「こころ」という深遠な領域の実はごく一部に過ぎません。
また、人間にはそれぞれの役割があります。家庭内で、職場内で、地域社会で、その他何らかの組織や集団の中で。これらもまた、その人を特徴付ける欠くことのできないその方の一部であり、そうしたものが失われたり、傷つけられたり、無視されたりすれば「苦しみ」に繋がりますし、それが原因となって心身の不調や病気を招くことがあります。特に大病を患ったり、生死に関わるような場面においては、そのような個人の「社会」的背景にも配慮された医療を受けたいと誰もが思うものです。しかし、現実はそうであるとは限りません。
残る「スピリチュアリティ」に関しては、日本語に翻訳すると意図している意味が正確に伝わりにくく横文字になっているようですが、その人の「存在の根源に関わるような意味」のようなものです。例えば、死に際しては、「自己の存在の意味」が大きな脅威にさらされます。これは実は人間にとって非常に重要な問題ですが、人生の最後の場面で、こうした問題が話題にすらなることがないままに、ただ苦痛を取り除けば良いというやり方だけで終わってしまうことが実際の臨床現場では多いと思われます。
統合医療では、そうした身体、こころ、スピリチュアリティ、社会の全体に目を向けた新しい医療を志向します。「木を見て森を見ず」とは、現代医学の対象が特定の臓器のみ、あるいは身体疾患のみに偏重した有様を揶揄するのにしばしば用いられる言葉ですが、ある意味木も見るし森も見るし、さらに森よりももっと広い世界にも目を向けようとするのが統合医療です。
尚、最近よく耳にするかもしれない「総合医療」とは、言葉としては似てはいますが、実際目指すものは異なります。総合医療医とは、臓器別・疾患別のいわゆるスペシャリストとして専門性の高い医療を展開するのではなく、個々の分野の専門性は低いけれども臓器別医療の垣根を越えて幅広く診療を行う医師のことです。臓器別医療に偏りすぎた現代医療にあっては、このような医療にも大きな意義がありますが、統合医療では、西洋と東洋の融合、単なる臓器という以上に、人間存在に関わる全ての要素を医療の中で統合することなどを目指します。
奥深く、具体的な実践は決して容易ではなく、現在まだ発展途上の医療と言えますが、当院ではそういう理念を重視し、もしも利用できると思われるものがあれば、西洋医学だ、エビデンスだ、などとこだわることなく、今後の当クリニックの診療活動の中で、患者さんに提供していきたいと考えております。なぜなら、西洋医学だけにこだわって最良の結果がもたらされるならともかく、現実には必ずしもそうとは言えず、泣いても笑っても人生にはいつか終わりがあり、患者さんにとっては待ったなしの一回だけの人生なのですから。
6. カウンセリングルームの設置
公認心理師・臨床心理士によるカウンセリングも行います。
身体のみならず心のケアにも対応できるクリニックを目指しています。
心のケアということに関して言えば、一般的に病気と定義されるような状態を有する方々のみならず、多くの人々は、何らかの心理的な課題や葛藤のようなものを抱えながら生きているのが現実です。そういうものは、潜在的に作用して、自分では気づかない形で身体の不調として後日表面化することもあります。
当クリニックで行うカウンセリングは、「心の相談窓口」というような役割となります。
精神科などではないので、精神疾患が疑われる場合など、症状によっては精神科や心療内科の受診をお勧めすることがあります。
カウンセリングルームについて
- 当院では、公認心理師・臨床心理士によるカウンセリングや各種心理検査を行なっています。
- 以下のような問題をお持ちの方のご相談をお受け致します。
職場内における人間関係での悩み、家族関係における悩み、子育てにおける悩み、ストレスなど心理的問題に起因する体の不調、将来への不安、死への不安など。
- 精神科や心療内科で精神療法を受けていたり、抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬などを服薬中である場合には、カウンセリングを受けることに関して主治医からの事前の許可が必要となります。
- カウンセリングの時間は、クリニックの診療時間とは異なりますのでご注意ください。
- 電話での事前予約が必要となります。
通常、月・火・木・金の午前中のみ予約をお受けしております。
詳しくは下記まで電話でお問い合わせ下さい。
電話番号:
0191-34-8300
- カウンセリングは自費(保険適用外)となります。料金は以下の通りです。
初回:60分 6,600円 / 2回目以降:50分 5,500円
※中学生(義務教育)までの小児の方は、上記料金より2,000円引きさせていただきます。
※高校・専門学校・大学生の方は、上記料金より1,000円引きさせていただきます。
※義務教育以外の学生の方については、学生証のご提示をお願いいたします。
- 以下の検査に関しては、保険が適用されます。
1) 発達・知能検査
2) 人格検査
3) 認知機能検査
7. その他、内科系クリニックとしての特徴を生かした医療サービスの提供
大病院では各種専門診療科が揃っていて、手術や特殊な検査・治療が必要な疾患、救急疾患、特殊な医療機器を駆使しなければ診断できないような疾患、あるいは疾患概念が確立されていて西洋医学(現代医学)の定義で病名をつけられるような疾患を扱う場合には大きな力を発揮します。しかし、専門診療科で区切るということは、垣根が発生することを意味し、その垣根をうまく乗り越えないと、「グレイゾーン」あるいは「狭間」のような領域ができてしまって、診療が滞ったりする事もありえます。専門にこだわりすぎると、それぞれの診療科がそれぞれの分野において局所における正解を提示するかもしれませんが、全体としてみると最も重要な点がぼやけてしまったり、精密検査や薬が増えて患者負担に繋がる事もあります。そのような意味では、状況次第では小さな内科系クリニックの方が柔軟に対応ができる場面も決して少なくはないと考えております。
さらに、健康な状態で長生きするという観点からすると、大病を患った時だけ手術や薬物療法を受けたとしても、その場の危機は乗り越えられるかもしれませんが、必ずしも元通りの健康体を回復できるとは限りません。なぜなら、長年のちょっとした問題の積み重ねの結果として大病に至ったのかもしれず、そういうものは一般的に言って一朝一夕では解決困難であるので、そうなる前に普段からこまめに健康チェックをしながら、予防や早期発見に努めていく必要があり、そういう意味で患者さんとの距離感の近いクリニックの果たす役割は大きいと考えます。
とは言え、限られた診療時間内でできることは自ずと限られてはきますが、そういう制約の下にあっても、大きな病院ではできない、クリニックならではの医療サービスを提供できるよう日々努めて参りたいと考えております。